鳴りを潜めるトランプ氏のFRBたたき、狙うのはもう1つの利下げ
記事を要約すると以下のとおり。
トランプ米大統領がワシントンの政府機関をくまなく攻撃する中で、1期目で格好の標的となった連邦準備制度理事会(FRB)は奇しくもこれを逃れている。だが、かつてトランプ氏がFRB当局者らを「ばか者」呼ばわりしたことを考えると、かなりのトーンダウンだ。独立機関を従わせるための大統領令でも、金融政策には例外を設けた。また第2次トランプ政権がまい進する破壊的なアプローチとも一線を画す。大統領への影響力 ベッセント氏ら政府高官の一部は、歳出削減と減税、積極的な関税の活用、エネルギー生産拡大の相乗効果により、成長を促進するとともに、財政赤字を削減しインフレを抑制するとの見解を提唱する。 エバコアISIのクリシュナ・グーハ氏は「ベッセント氏は長期金利に一段と焦点を当てるという点において、上司に多少の影響を与えているかもしれない」とリポートで指摘。FRBが50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)で利下げを開始した2024年後半に、10年債利回りはむしろ反対の方向に向かった。今月に入っての米国債の値上がりで、10年債利回りは4.2%に迫り、1月につけた高水準から0.5ポイント余り下がった。 ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)の通貨戦略グローバル責任者、ウィン・シン氏は「政権の政策が10年債利回りを低下させることはないだろう」と話す。共和党が主導する議会が減税の実現を目指しており、「財政刺激策が実施される見通しだ。」高インフレなど遠い過去の記憶だった1期目から、状況は劇的に変化した。市場も好調で、FRBに自由にさせておくことが容易な時期だと述べる。 ベッセント氏はトランプ氏とは対照的に、金融政策についてコメントしないと明言している。 トランプ新政権の初閣議に出席するベッセント氏Photographer:AlDrago/Bloomberg ベッセント氏は昨年の大統領選でトランプ陣営に加わって以降、この点についてトランプ氏への働きかけを続けてきた。パウエル氏の意向に沿った形にしようとするには十分な時間がある。究極の歯止め 金融政策決定という中核業務以外では、トランプ大統領による圧力を受けて、FRBがシフトしている兆候もうかがわれる。関連記事:FRBのバー氏、銀行監督担当副議長を退任へ-任期全う方針一転(3) さらにFRBはトランプ大統領の就任式の直前、気候変動リスクへの金融監督上の対応を検討するために2017年に設立された「気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)」からの脱退を表明した。トランプ氏が自身の成績表だととらえる金融市場だ。
[紹介元] ブルームバーグ マーケットニュース 鳴りを潜めるトランプ氏のFRBたたき、狙うのはもう1つの利下げ