パリはピーク過ぎたか、世界の銀行がフランスでの採用計画を凍結
記事を要約すると以下のとおり。
パリの富裕層が住む8区の中心にあるオフィスで、労働法専門弁護士のブルーノ・ガンビロ氏は、トレーダーや投資銀行のバンカー、アナリストたちの相談に乗っている。ガンビロ氏は30年にわたり、工場スタッフから保険会社の重役まで、解雇や人員削減の対象となった労働者を支援してきた。 一部の銀行では小規模なレイオフが始まっている。これらは主に、マクロン大統領が昨年、予想外の解散総選挙を決定したことに起因する。経済活動は減速し、財政赤字は拡大した。多くの関係者が、フランスで戦略的な決定を行うべき時ではないと考えるようになったと語った。 英国法に基づく金融契約を扱うため、パリ商事裁判所およびパリ控訴院には新たな国際部門が設置された。 銀行はこれに飛びついた。JPモルガンは現在、パリで約1000人を雇用しており、ブレグジット直前の250人から、現在は400人以上。シティグループは、17年の間にパリのスタッフを2倍以上に増やす余地がある。 「マクロン大統領の魅力的な政策と豊富な人材プールにより、パリはブレグジット後の人材獲得競争に勝利したものの、税金を巡る不確実性が大き過ぎると大手銀行の発展に水を差すことになると語った。」人材の豊富さ、優れた教育機関、魅力的な文化シーン、ロンドンに近いことなど、パリの魅力の多くは相変わらず、EU内の他の金融機関が法律事務所やコンサルティング会社に対し、政治の変化にどう対応すべきか助言を求めている。「米国の銀行の中には、1月になってもまだフランスでの戦略計画を提出していないところがある」という。金融機関は以前ほど多額の資金を人材に投じる意欲がないと指摘した。バンク・オブ・アメリカのパリ支店Photographer:BenjaminGirette/Bloomberg 採用ペースを鈍化させたり、人員削減を行っているのは米国の銀行だけではない。 欧州と英国における投資銀行DCアドバイザリーは1月、ロンドン、フランクフルト、ミラノのオフィスは維持するものの、パリ支店を夏までに閉鎖すると発表した。 EU域内でパリに代わる金融センター都市があるかはまだ分からない。 ドイツの次期政権が防衛とインフラ整備に数千億ユーロを投じる方針を打ち出していることから、取引を求めて銀行がフランクフルトに集まる可能性もある。 「国ごとの政治的・経済的な要因を考慮するだけでなく、その国の魅力を判断する上で大きな制約となる要素の一つは、移住を計画しているバンカーの家族を受け入れるためにパリの周辺に数百もの多言語対応の学校が開校した。」フランスの学校では数百のバイリンガル教育の受け入れ枠が追加されたPhotographer:LucBoegly/Ateliers2/3/4/V2comNewswire マクロン氏の政府は昨夏以降、金融業界に対して何も変わっていないと説明しようとしている。ロンバール氏は今月、防衛費を捻出する方法として超富裕層に対する実質的な最低税率引き上げを支持した。その後、より高い税金を支払うことになるバンカーらは雇用主が補填(ほてん)してくれることを期待し、それが銀行がパリを去る理由になるかもしれない。
[紹介元] ブルームバーグ マーケットニュース パリはピーク過ぎたか、世界の銀行がフランスでの採用計画を凍結