【コラム】半導体に官民で賭ける日本、傍観こそリスク-リーディー
記事を要約すると以下のとおり。
北海道千歳市の地価が大きく上昇し、日本各地で今、休耕田が注目を浴びている。半導体産業のトップを奪還するという投資総額5兆円とされる日本の賭けを、何千人もの建設作業員が驚くべきスピードで形にしている。 何であれリスクはつきものだ。人口約10万人の千歳市から1500キロメートル離れた九州の熊本県では、1兆円余りを投じた台湾積体電路製造(TSMC)の半導体の受託生産で世界一のTSMCが、同社初の日本工場を建設したのは熊本県菊陽町だ。 第2工場も着工予定で、当局は3番目の工場誘致にも動いている。 フィールド・オブ・ドリームスが米国で公開された1989年、作家で後に東京都知事となる故・石原慎太郎氏は外国の少なくとも5年先を行った。韓国と台湾が主導権を握る中、世界の半導体開発と国内生産の促進を「緊急提言」したのは21年。投資額は膨大で、日本にとって前例のない野心的な取り組みだったが、新型コロナウイルス大流行期の半導体不足で国内の自動車産業は追い詰められていた。 半導体への投資を怠った日本だが、あるものには投資し続けた。「土建国家」と呼ばれていた当時の日本が相次ぎ実施した景気刺激策は、より重要な意味を持つ。それは「行動をせよ」という呼びかけになるだろう。 地方復興は掛け声だけで実現するものではない。 米国のトランプ次期政権はイーロン・マスク氏流のコスト削減を検討しているが、日本がこれまで採用してきた政策は「造ること」のメリットを示している。JapanOnceDominatedGlobalChipSalesNowitwantstoreclaimitsplaceatopthesemiconductormarketSource:WorldSemiconductorTradeStatisticsNote:Dataare12-monthmovingaverages. 公共事業は開始直後にしばしば非難の的となる。ラピダスの工場建設のため最大6000人のスタッフが勤務する見込みだという。こうした観光産業とともに、ラピダスは道内経済に多大な利益をもたらすと期待されている。タクシー運転手の関心事は今や世界的な半導体市場の動向だ。 2012年の経営破綻後に米マイクロン・テクノロジーに売却されたエルピーダメモリや、経営難に陥っているジャパンディスプレイなど、政府主導のこれまでの取り組みを考えると、懐疑的な見方は正当化される。 それでも、夜になり作業員たちが建設現場を去ると、圧倒的な静けさが訪れることも実感した。 TSMCの工場ができた菊陽町にはソニーグループのイメージセンサー工場もある。 菊陽町や隣の大津町では、不動産開発会社に土地を売った知り合いがいるという人は少なくない。台湾から来たTSMC従業員の6割ほどが人口約80万人の県庁所在地、熊本市に住んでいる。 地元の行政は日本語教室を開設し、緊急サービスやごみの分別などあらゆる面でサポートを提供。 日本一安全な主要都市との評判もある熊本市では「台湾タウン」構想も浮上。混み合った店で熊本ラーメンを食べていると、日本語を話しているのは自分だけではないかと思うほどだった。熊本市によれば、全ての水道水が地下水で賄われる同市は「世界に誇る地下水都市」だという。そのため、水道水や農業、その他の従来からある産業への影響を懸念する地元住民もいる。この地震で300人近くが亡くなった。北海道でも18年の地震後)Source:JijiPress/AFP/GettyImages 災害のリスクは予測不可能だ。だが、日本が進めるこうした大がかりな実験が単にうまくいかなかったらどうなるだろうか。 千歳市の横田市長はこうした懸念を一蹴した。 北海道と九州への旅を終えた私は、別のリスクも強く感じた。英語圏の国々は高速鉄道から原子力発電に至るプロジェクトで、こうしたアプローチに迷い込んでしまった。 全てがうまくいかず、ラピダスが失敗に終わる可能性もある。しかし、何も造らなければ誰もやって来ないのは確かだ。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)原題:ChipCitiesRiseinJapan’sFieldsofDreams:GearoidReidy (抜粋)ThiscolumndoesnotnecessarilyreflecttheopinionoftheeditorialboardorBloombergLPanditsowners.。
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